2013年11月24日日曜日

関節 一覧

脊柱
名称
関節頭
関節窩
形状
線維軟骨
靭帯
椎間関節
下関節突起(上位)
上関節突起(下位)
平面
椎間円板
前・後縦靭帯
黄色靭帯
棘間靱帯
項靱帯


頭蓋と脊柱
名称
関節頭
関節窩
形状
線維軟骨
靭帯
環椎後頭関節
後頭顆(後頭骨)
上関節面(頚椎)
楕円



環軸関節





正中環軸関節
前関節面
(軸椎 歯突起)
歯突起窩
(環椎 第1頚椎)
車軸
環椎横靭帯
外側環軸関節
上関節面(環椎)
下関節面(環椎)



肋骨と胸骨・胸椎
名称
関節頭
関節窩
形状
線維軟骨
靭帯
肋椎関節






肋骨頭関節
肋骨頭関節面
(肋骨)
横突肋骨窩
(胸椎)



肋横突関節
肋骨結節関節面
(肋骨結節)
横突肋骨窩
(胸椎)



胸肋関節
肋軟骨前端
肋骨切痕(胸骨)





頭蓋骨
名称
関節頭
関節窩
形状
線維軟骨
靭帯
顎関節
下顎頭
(下顎骨
 関節突起)
下顎窩
(側頭骨)
顆状
関節円板
外側靭帯
蝶下顎靭帯
茎突下顎靭帯


上肢
名称
関節頭
関節窩
形状
線維軟骨
靭帯
肩鎖関節
肩峰関節面(肩甲骨)
肩峰関節面(鎖骨)
平面
関節円板
肩鎖靭帯
烏口鎖骨靭帯
(円錐靱帯
菱形靭帯)

胸鎖関節
胸骨関節面
(鎖骨)
鎖骨切痕
(胸骨 胸骨柄)

(鞍)
関節円板
前胸鎖靭帯
後胸鎖靭帯
肋鎖靭帯
鎖骨間靭帯
肩関節
上腕骨頭
関節窩
(肩甲骨)
関節唇
烏口上腕靭帯
関節上腕靭帯
烏口肩峰靭帯
肘関節






腕尺関節
上腕骨滑車
滑車切痕
螺旋
(蝶番)

内側側副靭帯
外側側副靭帯
橈骨輪状靭帯
腕橈関節
上腕骨小頭
橈骨頭

上橈尺関節
関節環状面
(橈骨)
橈骨切痕
(尺骨)
車軸

下橈尺関節
関節環状面
(尺骨)
尺骨切痕
(橈骨)
車軸


橈骨手根関節
舟状骨
月状骨
三角骨
手根関節面
(橈骨)
楕円
関節円板

手根間関節
近位列手根骨相互間
遠位列手根骨相互間
(平面)

骨間手根靭帯
手根中央関節
近位列手根骨(豆状骨)除く
遠位列手根骨



手根中手関節
遠位列手根骨
第2-5中手骨底
平面


第1
手根中手関節
第1中手骨底
大菱形骨


中手指節関節
(MP)
中手骨頭
基節骨底
顆状


手の指節間関節
(遠位 DIP
近位 PIP)
第2-5基節骨頭
第2-5中節骨頭
第2-5中節骨底
第2-5末節骨底
蝶番

内側側副靭帯
外側側副靭帯
掌側靭帯


下肢
名称
関節頭
関節窩
形状
線維軟骨
靭帯
仙腸関節
耳状面(仙骨)
耳状面(腸骨)


股関節
大腿骨頭
寛骨臼
臼状
関節唇
腸骨大腿靭帯
恥骨大腿靭帯
大腿骨頭靭帯
膝関節
大腿骨
膝蓋骨
脛骨
顆状
関節半月
前十字靭帯
後十字靭帯
内側側副靭帯
外側側副靭帯
膝横靭帯
膝蓋靭帯
脛腓関節
腓骨頭関節面
(腓骨)
腓骨関節面
(脛骨)
平面

前腓骨頭靭帯
後腓骨頭靭帯
距腿関節
距骨滑車
下関節面(脛骨)
内果関節面(脛骨)
外果関節面(腓骨)
蝶番

内側(三角)靭帯
前距腓靭帯
後距腓靭帯
踵腓靭帯
足根間関節






距骨下関節
距骨
踵骨



距踵舟関節
距骨
踵骨
舟状骨



踵立方関節
踵骨
立方骨



楔舟関節
楔状骨
舟状骨



横足根関節
(ショパール関節)
近位足根骨
舟状骨、立方骨


二分靭帯
足根中足関節
(リスフラン関節)
楔状骨、立方骨
中足骨底



中足指節関節
(MP)
中足骨頭
基節骨底



足の
指節間関節
第2-5基節骨頭
第2-5中節骨頭
第2-5中節骨底
第2-5末節骨底





2013年11月10日日曜日

顔面・頭部の軟部組織損傷

軟部組織損傷
A.外傷性顎関節損傷(顎関節捻挫)
特徴
・スポーツ外傷、転倒、事故などを原因とする直達性、下顎部からの介達性に顎関節部に外力がは作用した場合に発生しやすい
・顎関節を構成する靭帯、関節包、関節円板の損傷で骨折は伴わない
症状
・腫脹、圧痛が著明
・疼痛のため関節運動制限
・関節円板の偏位を伴うと開口、閉口運動が障害される
治療法
・初期には冷湿布、経過に従い理学療法
・硬いものを食べないなどの比較的安静を指示
注意点
・捻挫ではX線像での特別な所見は見られないが下顎等の骨折を合併するものもあるので注意が必要
高度の損傷症状を示す場合は、関節円板の挫滅、関節包の破綻、高度な関節腔内出血を想定するべき
・関節円板損傷などが想定されるときには口腔外科での観血治療を必要とする場合がある
・受けた外力が大きい場合は脳神経外科での受診を指示
予後
10日程度の科料で軽快する場合がほとんど

B.頭部、顔面部打撲
特徴
・頭部及び顔面に種々の事象により直接打撃を受けて起こる
頭部、顔面は血流が盛んで小動脈損傷による皮下出血量が多い
・出血の際は止血処置を施し感染症予防、開放創閉鎖の処置を行うため外科医に託す
強大な外力であったことが想定される場合は脳神経外科の受診を指示


C.顎関節症
定義
・顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節雑音、開口障害ないし運動異常を主要症状とする慢性疾患群の総括的診断名であり、その病態には咀嚼筋障害、靭帯損傷、関節円板障害、そして変形性関節症などが含まれる
診断
・顎関節や咀嚼筋などの疼痛がある
・関節雑音がある
・関節症がいないし運動異常がある
上記の主要症状のうち少なくともひとつある場合とする
分類
顎関節症I
咀嚼筋障害
顎関節症II
関節包、靭帯障害
顎関節症III
顎関節内障
顎関節症IV
変形性顎関節症
顎関節症V
精神的因子によるもの

1.顎関節症I
概念・症状
筋症状を主体とする
咀嚼筋群の疼痛を認める。筋・筋膜の痛みの原因には咀嚼筋感の調和の乱れ、筋スパズムがあるといわれている
・ストレスによる影響も考えられ歯ぎしり、噛み締めなども一因とされている
診断
咀嚼筋のみの圧痛を認め顎関節部の圧痛は認めない
・咬合不全、歯ぎしり、噛み締めの悪習慣の有無を調べる
X線所見では顎関節の形態変化や異常を認めない
治療法
疼痛対策
鎮痛剤、筋弛緩剤の投与が医師から支持されることがある
理学療法
筋の手技療法
スプリント療法
咬合不全や咬合異常の場合に行う

2.顎関節症II
概念・症状
・オトガイ部の強打、過度の開口などで起こる靭帯損傷、関節包損傷、関節円板挫滅、関節捻挫などの慢性外傷性病変
圧痛、咬合、咀嚼時や顎関節運動時に疼痛を覚えるが顎関節雑音を伴わない場合が多い
診断
X線、MRICT関節造影などを行い検査。一般には円板の転位や顎の異常所見はない
・関節鏡所見では滑膜のびらんや円板の微細な損傷を一分に認める
・開口障害を認めるが、強制的な開口は可能でIII型との鑑別になる
治療法
疼痛対策
非ステロイド性抗炎症剤NSAIDs)の投与とともに顎の安静を指示
スプリント療法
スタビライゼーション型スプリント
咬合挙上、下顎位の修正


3.顎関節症III
概念・症状
顎関節症では一番多い
円板の前内方転位、円板変性穿孔、線維化などが見られる
相反性クリック(IIIa型)円板の前方転位が復位するもの
開閉口時、下顎等が円板の後方肥厚部を通過する際に関節雑音が生じる
クローズドロック(IIIb型)前方転位が復位しないもの
相反性クリックの前方転位が進行したもので開口時、円板の肥厚部を乗り越えられず開口障害を示しクリックを認めない
・主な原因は咬合異常が考えられる
診断
X線、CT、関節内視鏡検査などを行い診断
治療法
・不快症状の除去に対してはクリック、顎関節痛、開口障害を目標に治療
・相反性クリックに対しては下顎前方復位型スプリントを装着
・クローズドロックに対しては整復、パンピング、ピボットスプリントの装着
・まずは保存療法をおこない効果が無い時は関節鏡視下手術、円板制服ないし円板置換を首都する関節内症手術を行う
パンピング:関節腔へ局所麻酔剤や生食の注入と吸収を繰り返す方法

4.顎関節症IV
概念・症状
.軟骨破壊、骨増殖、下顎頭変形、円板穿孔など進行性の病変が主体
主病変は下顎等に出現することが多いが関節窩に生じるものもある
II型、III型の合併や相互に移行を繰り返すものがある
・原因は咬合異常による顎関節への外傷性因子、低位咬合などがあげられる
診断
顎関節雑音(クレピタス)がみられ、徐々に開口障害の程度が増強
X線で骨肥厚像、骨硬化像、下顎頭変形が見られる
治療法
・保存療法は根本的治療とはなり得ないが薬物療法、スプリント療法、理学療法を行う
・観血療法では下顎頭修正術、関節結節修正術が行われる

5.顎関節症V
概念・症状
心因性顎関節症とも言われ、精神心理的要因が主たるものである
・病態は顎関節部の違和感で主症状は咀嚼機関に見られる多種多様な不定愁訴である
治療法
心理面からの治療が必要。抗不安薬の投与で改善すればV型が疑われる
不定愁訴:原因がはっきりしない

顎関節脱臼

顎関節の脱臼

顎関節の機能解剖
・下顎骨の下顎頭と側頭骨の下顎窩との関節
・関節円板
・顎関節は外側靭帯、蝶下顎靭帯、茎突下顎靭帯により補強
・運動は主に咀嚼運動とともに左右の関節が共同で
 1.下顎体の上下運動
 2.下顎骨の前進と後退
 3.臼磨運動(側方への回旋運動)
上記の3種類の運動も行われる

下顎骨の解剖
・顔面下部を占める骨で下顎枝と下顎体からなる
・下顎枝は筋突起関節突起からなる
・関節突起は下顎頭下顎頚からなり下顎頭は側頭骨の下顎窩と顎関節をつくる
・下顎頚の内側面に翼突筋窩があり外側翼突筋が停止
筋突起は下顎切痕を挟む関節突起の前方の突起で側頭筋が停止
下顎角の外側面は咬筋粗面があり咬筋が停止内側面は翼突筋粗面で内側翼突筋が停止

顎関節の運動
受動的な開口
(無意識の開口)
・関節円板と関節頭との間での骨頭回転運動のみ
能動的な開口
(意識的に口を大きく開ける)
・上記骨頭回転運動と関節窩と関節円板の間で関節円板が前方に滑る運動が同時に起こり前方に移動する

顎関節の筋肉・靭帯
起始
停止
神経
作用
咬筋
頬骨弓
咬筋粗面
下顎神経
(三叉神経第3枝)
下顎骨の挙上
側頭筋
側頭鱗
筋突起
下顎骨の挙上
下顎骨の後方移動
外側翼突筋
蝶形骨
(翼状突起)
下顎頚
下顎骨の前方移動
内側翼突筋
下顎骨の内面
下顎骨の挙上

脱臼
特徴
・顎関節は正常可動域内でも不全脱臼形を呈する
関節包を破ること無く脱臼する
女性に多い(女性のほうが関節窩が浅い)
前方脱臼が多い
習慣性脱臼反復性脱臼になりやすい


分類
顎関節脱臼
前方脱臼
両側脱臼
片側脱臼
後方脱臼
側方脱臼

A.前方脱臼
発生機序
極度の開口時(あくびなど)に関節頭が関節結節を超え前方に転位し
外側靭帯、咬筋、外側翼突筋により固定 ⇛ 両側脱臼が多い
・開口時の衝突、打撃などの下顎側方からの外力で発生 ⇛ 片側脱臼が多い
症状
両側
開口不能になり唾液流出、咀嚼、会話不能
・下顎歯列は上顎歯列の前方に偏位
耳の前方に陥凹した関節窩を触れ関節頭は陥凹した関節窩の前方に触知
弾発性固定
・頬は扁平、関節窩は空虚
片側
・両側脱臼ほど著明ではない
半開口で口の開閉はわずかに可能
オトガイ部は健側に偏位
・患側の耳孔前方に陥凹を触知
整復法
口内法
・ヒポクラテス法
・ボルカース法
口外法

注意点
・整復への不安感を取り除き心身の緊張を解かせる(咀嚼筋の緊張緩和)
・口内法の場合は特に指の消毒、滅菌ガーゼの使用
感染症予防の観点よりゴム手袋をつける事が望ましい
鼻吸気、口呼気の指示(筋緊張の緩和)
・強引な整復は下顎骨折の原因となる
固定法・
後療法
・整復後は固定をし関節運動の制限をして安静時に理学療法を行う
2週間程度は固い食べ物は避ける
・早期の固定除去、早期の開口運動 ⇛ 反復性脱臼のリスクが高まる

B.後方脱臼
特徴
極めてまれ
発生機序
・開口時に前方から音外部に受けた強力な打撃(ボクシング等)により発生
症状
・下顎が後方に移動
・開口、咬合不能
・下顎等が側頭骨乳様突起鼓室部間、骨正外耳孔上などに転位
・下顎骨骨折、外耳道壁の骨折を合併することもある
整復法
・前方脱臼と同様に下顎骨を把持し前下方に十分に牽引し整復
合併症
・下顎骨骨折
・頭蓋底骨折、外耳道前壁の骨折
注意点
・上記合併症がある場合には専門医に緊急搬送


C.側方脱臼
特徴
骨折の合併症として見られるもので単独脱臼は極めてまれ
症状
・下顎は後退
・前歯部が開口し咬合不能
・下顎運動障害を認める
・下顎頭は下顎窩外側法又は内側法に触知
・脱臼は触診及びX線で確認される