2013年8月13日火曜日

血液2

血漿蛋白質
アルブミン
・一番量が多く膠質浸透圧の維持
・低下すると浮腫が生じる
・アミノ酸の供給源(栄養機能
グロブリン
α-グロブリン
アルブミンと共に担体として脂質、ビリルビン、ビタミンなどの輸送
β-グロブリン
γ-グロブリン
免疫機能、免疫グロブリン
フィブリノゲン
血液凝固因子

血漿蛋白質の働き
・栄養機能
Phの維持
・緩衝作用
・血液凝固機能
・免疫機能

c.血小板
働き
・血液凝固作用、止血作用

形状
・無核の2-3μmの円盤状
・巨核球の細胞質が断片となってできている

寿命
3-10日程度
・脾臓で破壊

血液の凝固機序
・血液中のフィブリノゲン(線維素原)がフィブリン(繊維素)に変わることで起こる
因子
同意語
因子欠損の病気
I
フィブリノゲン
無フィブリン血症
II
プロトロンビン
低プロトロンビン血症
III
組織トロンボプラスチン

IV
カルシウムイオン(Ca2+

V
不安定因子
類血友病
VI
欠番

VII
安定因子、
プロコンバーチン
低プロコンバーチン血症
VIII
抗血友病因子
血友病A
IX
クリスマス因子
血友病B(クリスマス病)
X
スチュアート因子
スチュアート因子欠損症
XI
PTA
PTA欠損症
XII
ハーゲマン因子
ハーゲマン素質
XIII
フィブリン安定化因子


フィブリンの形成
内因系
外因系










XII
XIIa








IX


XI
XIa
VIIa
III





IXa











VIII
X
Xa
X






V












プロトロンビン
2
トロンビン
XIII













フィブリノゲン
第3相
フィブリン




















「→」は活性化
「⇛」は作用(働き)
赤字」はCa2+が必要な活性化
1
・外因系と内因系によりスチュアート因子(第X因子)が活性化され第2相に進む
2
Ca2+の存在下でプロトロンビンからトロンビンが生成
3
・トロンビンによりフィブリノゲンが不溶性のフィブリンになる

抗凝固剤
クエン酸ナトリウム
Ca2+の作用を阻害
シュウ酸ナトリウム
抗トロンビン剤
ビタミンKの作用を阻害
ヘパリン
トロンビンや第X因子の作用を阻害

線維素溶解現象
プラスミンの作用により一度凝固した血液が再び溶解すること

血液型


凝集原(抗原)
凝集素(抗体)
A
A
β
B
B
α
AB
AB
なし
O
なし
αβ

表現型
遺伝子型
A
AA
AO
B
BB
BO
AB
AB
O
OO

血液1

血液
I.血液の働き
1.運搬機能
 「酸素、二酸化炭素、栄養分、ホルモン、ビタミン、酵素、老廃物、熱など
2.ホメオスタシス機能
3.止血機能
4.生体防御機能

血液の成分
血漿(55%)
血清
蛋白質、脂質など
フィブリン
血漿蛋白質の一つ
血球
(ヘマトクリット値
45% 女40)
赤血球(無核)
1mm3中、男性で500万個、女性で450万個
ヘモグロビン 寿命は約120
血小板(無核)
1mm3中、13万~35万 止血
白血球(有核)

1mm3中、50008000
顆粒白血球
好中球(55%)、好酸球(3%)、好塩基球(0.5%
無顆粒白血球
リンパ球(36.5%)、単球(5%
血球細胞は成人では骨髄の血液幹細胞から作られる
胎児期で肝臓や脾臓でも作られる
成人時では長管骨の造血はほぼ消失し扁平骨や短骨で行われる
造血が盛んな骨髄は赤血球が多く赤色に見え赤色骨髄と呼ばれる
造血作用を失った骨髄は脂肪組織のため黄色に見え黄色骨髄と呼ばれる

II.血液の細胞成分
a.赤血球
働き
・酸素の運搬
・二酸化炭素の運搬
pHの緩衝作用

脱核による円盤形

赤血球の合成(新生)
ビタミンB12葉酸が必要
ヘモグロビンの合成にはが必要

酸素分圧
・ヘモグロビンと酸素の結合の強さ
血液の温度低下
酸素結合度上昇

pH上昇(アルカローシス)
血液の温度上昇
酸素結合度低下
エリスロポエチンが分泌され赤血球が増加
pH低下(アシドーシス)
・エリスロポエチン
腎臓から分泌され赤血球細胞の分化、増殖を促す

二酸化炭素の運搬
・炭酸、重炭酸イオンとして運搬 (67%)
 血液中で炭酸となりH+イオンを放出すると重炭酸イオンとなる
・カルバミノ化合物として運搬 (25%)
・二酸化炭素として血漿に溶解して運搬 (8%)

溶血
赤血球膜が破壊されヘモグロビンが流出すること
寿命(約120日)が尽きた赤血球は脾臓や肝臓などで破壊される

腸肝循環
赤血球
ヘモグロビン
ヘム
ビリベルジン
グロビン


1.ビリベルジンは酸素と結合しビリルビンとなる
2.血液中のアルブミンと結合し肝臓へ運ばれる
3.肝臓から胆汁中に分泌
4.十二指腸の腸内細菌の作用でウロビリノゲンとなり排出
5.十二指腸で分泌された胆汁の一部を腸で再吸収され肝臓に戻る
6.再び胆汁中に排泄

黄疸
肝臓に戻された一部は血液中に入り尿中に排泄
肝臓と胆道の機能が正常でない場合ビリルビンを捨てることが出来ずにビリルビン濃度が異常に上昇したもの

貧血
赤血球、ヘモグロビン量の低下による酸素運搬能力の低下とそれに伴う症状
原因
1.赤血球の合成に必要な栄養不足
 鉄、ビタミンB12、葉酸
2.赤血球の合成不全(骨髄障害)
3.赤血球の喪失亢進(溶血
 赤血球の寿命が短くなる
4.エリスロポエチンの分泌不足

b.白血球
白血球
3500
9000個)
顆粒球
好中球(55%)
貪食作用
好酸球(3%)
アレルギーや寄生虫感染で増多
好塩基球(0.5%)
ヒスタミン、ヘパリンなどを分泌
無顆粒球
リンパ球(36.5%)
Bリンパ球

免疫機能
Tリンパ球
ヘルパーTリンパ球
細胞傷害性Tリンパ球
単球(5%)
マクロファージ、抗原情報をリンパ球に伝達
特徴
・顆粒球の寿命は2-14
・無顆粒球の寿命は数日-数十年
・顆粒球は成熟すると分葉球(核がくびれる)になる

Bリンパ球
骨髄で分化
液性免疫
細胞表面に免疫グロブリンIgMIgDIgGIgAIgE)を持ち抗原刺激により抗体を分泌
IgG
補体結合
IgA
外分泌液(涙など)に含まれ免疫機能を発揮
IgM
補体結合
IgE
好塩基球や肥満細胞に付着しヒスタミンが遊離しアレルギー反応が出る
IgD
Bリンパ球が形質細胞になると消失
*補体結合
抗原と抗体の結合物が血液中に存在する補体と呼ばれる糖蛋白を取り込む反応

Tリンパ球
Tリンパ球
ヘルパーTリンパ球
免疫細胞の活性化、リンフォカインの分泌
細胞傷害性Tリンパ球
標的細胞の破壊
胸腺で分化
・その後は末梢リンパ組織(脾臓、リンパ節、パイエル板など)に移動
細胞性免疫


2013年8月4日日曜日

上腕骨近位端部骨折2

c.外科頚骨折
特徴
1.関節外骨折
2.高齢者に多い
3.臨床上重要
 a.高頻度
 b.肩の障害
4.分類
 a.外転型骨折(多い)
 b.内転型骨折(少ない)
発生機序
直達外力(少ない) < 介達外力(多い)
直達外力
転倒して肩をぶつけた
肩に外方から物がぶつかった
外転型
介達外力
転倒して手掌又は肘をついた
内転型、外転型

症状
1.血腫著明 ⇛ 皮下出血斑(大)(肩から肘又は脇腹):数日かかる
        ⇛ 肩の腫脹
 ※外科頚外転型骨折と肩関節前方脱臼の変形は類似 ⇛ 誤診の可能性
2.異常可動性と軋轢音噛合骨折では見られない
3.肩の運動障害噛合骨折では見られない
4.外科頚部の限局性圧痛
5.転位と変形


外転型骨折
内転型骨折
骨軸の変化
骨間軸の骨折端部は内方へ向く
骨管軸の骨折端部は外方へ向く
骨片転位(近位)
軽度内転
軽度外転、外旋
骨片転位(遠位)
軽度外転、内前上方転位
軽度内転、前外上方転位
肩峰と
大結節の距離
広がる
狭まる
変形
前内方凸
前外方凸

整復法
外転型骨折
1.患者背臥位:1助手は肩を固定
2.2助手は遠位骨片を抹消牽引して内転させる
3.術者は遠位骨片を外方へ引く
4術者は遠位骨片を前方から圧迫、同時に第2助手は遠位骨片を前方に挙上
・転位の除去の順序
1.短縮転位 2.外転転位 3内方転位 4.前方転位

内転型骨折
1.患者背臥位:1助手は肩を固定
2.2助手は遠位骨片を抹消牽引して外転させる
3.術者は遠位骨片を内方へ引く
4術者は遠位骨片を前方から圧迫、同時に第2助手は遠位骨片を前方に挙上
・転位の除去の順序
1.短縮転位 2.内転転位 3.外方転位 4.前方転位
固定法
a.外転型骨折:肩の内転位固定
内転位固定
 ・ハンギングキャスト法:持続牽引
b.内転型骨折:肩の外転位固定
外転位固定
 ・ミッデルドルフの三角副子:三角形にしたクラーメル副子などを利用した固定
 ・外転装具:エアプレーン装具
後療法
1.骨癒合 46w
2.肩の運動を制限(再転移の可能性
3.固定中の筋力低下防止(等尺性収縮運動)
4.肩の拘縮予防
 a.コッドマン体操(振り子体操)
 b.棒体操
 c.滑車運動(プーリー
合併症
続発症
後遺症
1.肩関節の脱臼(少ない
2.血管損傷(腋窩動脈
3.神経損傷:
腋窩神経 ⇛ 三角筋、小円筋マヒ ⇛ 外転不可
       ⇛ 肩外側の知覚麻痺
4.肩関節の亜脱臼(ルーズショルダー):筋力低下
5.肩の運動障害:特に外転、外旋
鑑別診断
1.外科頚外転型骨折
2.肩関節前方脱臼
a.三角筋部腫脹
b.肩峰下骨頭触知
c.軋轢音
a.三角筋部膨隆消失
b.肩峰下空虚
c.弾発性固定(バネ様固定)

d.大結節単独骨折
発生機序
直達外力
肩外側を強打
介達外力
腱板棘上筋、棘下筋、小円筋)の牽引による裂離骨折
固定法
転位小
三角巾で提肘
転位大
外転・外旋位でギプス固定
肩関節前方脱臼に合併することが多い

e.小結節単独骨折
特徴
・極めて稀
・肩関節後方脱臼(極めて稀)に合併
・上腕二頭筋長頭腱脱臼を合併
発生機序
直達外力
肩の前方を強打
介達外力
腱板(肩甲下筋)の牽引による裂離骨折
固定法
肩下垂内旋位で固定

f.骨端線離開
特徴
新生児、乳幼児、少年期に特有な骨折
予後良好 III
予後不良 (IIIIVV型 ⇛ 成長障害
発生機序
・外科頚骨折と同様
分娩時にも発生(腕を引っ張られて)
症状
新生児
骨折線は骨端線のみI型が多い)
少年期
骨折線は関節包の内外にわたる(II型が多い)
・腫脹、疼痛
・上肢は下垂内旋
・運動時痛
整復固定
転位小または無い
整復の必要は無い(自家矯正力)
転位大:(屈曲40度以上又は回旋転位)極めて稀
整復
・肩 外転90度、水平屈曲45度、外旋位
・肘 屈曲90度 でギプス固定