2013年8月4日日曜日

上腕骨近位端部骨折2

c.外科頚骨折
特徴
1.関節外骨折
2.高齢者に多い
3.臨床上重要
 a.高頻度
 b.肩の障害
4.分類
 a.外転型骨折(多い)
 b.内転型骨折(少ない)
発生機序
直達外力(少ない) < 介達外力(多い)
直達外力
転倒して肩をぶつけた
肩に外方から物がぶつかった
外転型
介達外力
転倒して手掌又は肘をついた
内転型、外転型

症状
1.血腫著明 ⇛ 皮下出血斑(大)(肩から肘又は脇腹):数日かかる
        ⇛ 肩の腫脹
 ※外科頚外転型骨折と肩関節前方脱臼の変形は類似 ⇛ 誤診の可能性
2.異常可動性と軋轢音噛合骨折では見られない
3.肩の運動障害噛合骨折では見られない
4.外科頚部の限局性圧痛
5.転位と変形


外転型骨折
内転型骨折
骨軸の変化
骨間軸の骨折端部は内方へ向く
骨管軸の骨折端部は外方へ向く
骨片転位(近位)
軽度内転
軽度外転、外旋
骨片転位(遠位)
軽度外転、内前上方転位
軽度内転、前外上方転位
肩峰と
大結節の距離
広がる
狭まる
変形
前内方凸
前外方凸

整復法
外転型骨折
1.患者背臥位:1助手は肩を固定
2.2助手は遠位骨片を抹消牽引して内転させる
3.術者は遠位骨片を外方へ引く
4術者は遠位骨片を前方から圧迫、同時に第2助手は遠位骨片を前方に挙上
・転位の除去の順序
1.短縮転位 2.外転転位 3内方転位 4.前方転位

内転型骨折
1.患者背臥位:1助手は肩を固定
2.2助手は遠位骨片を抹消牽引して外転させる
3.術者は遠位骨片を内方へ引く
4術者は遠位骨片を前方から圧迫、同時に第2助手は遠位骨片を前方に挙上
・転位の除去の順序
1.短縮転位 2.内転転位 3.外方転位 4.前方転位
固定法
a.外転型骨折:肩の内転位固定
内転位固定
 ・ハンギングキャスト法:持続牽引
b.内転型骨折:肩の外転位固定
外転位固定
 ・ミッデルドルフの三角副子:三角形にしたクラーメル副子などを利用した固定
 ・外転装具:エアプレーン装具
後療法
1.骨癒合 46w
2.肩の運動を制限(再転移の可能性
3.固定中の筋力低下防止(等尺性収縮運動)
4.肩の拘縮予防
 a.コッドマン体操(振り子体操)
 b.棒体操
 c.滑車運動(プーリー
合併症
続発症
後遺症
1.肩関節の脱臼(少ない
2.血管損傷(腋窩動脈
3.神経損傷:
腋窩神経 ⇛ 三角筋、小円筋マヒ ⇛ 外転不可
       ⇛ 肩外側の知覚麻痺
4.肩関節の亜脱臼(ルーズショルダー):筋力低下
5.肩の運動障害:特に外転、外旋
鑑別診断
1.外科頚外転型骨折
2.肩関節前方脱臼
a.三角筋部腫脹
b.肩峰下骨頭触知
c.軋轢音
a.三角筋部膨隆消失
b.肩峰下空虚
c.弾発性固定(バネ様固定)

d.大結節単独骨折
発生機序
直達外力
肩外側を強打
介達外力
腱板棘上筋、棘下筋、小円筋)の牽引による裂離骨折
固定法
転位小
三角巾で提肘
転位大
外転・外旋位でギプス固定
肩関節前方脱臼に合併することが多い

e.小結節単独骨折
特徴
・極めて稀
・肩関節後方脱臼(極めて稀)に合併
・上腕二頭筋長頭腱脱臼を合併
発生機序
直達外力
肩の前方を強打
介達外力
腱板(肩甲下筋)の牽引による裂離骨折
固定法
肩下垂内旋位で固定

f.骨端線離開
特徴
新生児、乳幼児、少年期に特有な骨折
予後良好 III
予後不良 (IIIIVV型 ⇛ 成長障害
発生機序
・外科頚骨折と同様
分娩時にも発生(腕を引っ張られて)
症状
新生児
骨折線は骨端線のみI型が多い)
少年期
骨折線は関節包の内外にわたる(II型が多い)
・腫脹、疼痛
・上肢は下垂内旋
・運動時痛
整復固定
転位小または無い
整復の必要は無い(自家矯正力)
転位大:(屈曲40度以上又は回旋転位)極めて稀
整復
・肩 外転90度、水平屈曲45度、外旋位
・肘 屈曲90度 でギプス固定

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