5-3.筋の損傷
1.筋の形態と機能
・体重の40~45%
・水(75%)、蛋白質(20%)、少量のグリコーゲン、有機リン酸塩
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2.筋損傷の概説
筋損傷に加わる力
急性
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・一度の外力として損傷を引き起こす
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亜急性
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・損傷と認知できないような力が繰り返しあるいは継続して加わることで、突然症状が出る場合と徐々に症状が現れる場合がある
・筋の場合は疲労性あるいは筋力低下といった基礎的状態が関与することが多い
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3.筋損傷の分類
A.筋の性状による分類
外傷性損傷
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・正常な筋に外力が作用して発生
・急性と亜急性の組織損傷に大別される
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病的状態
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・進行性筋ジストロフィー、多発性筋炎、多発性神経炎、シャルコー・マリー・ツース病、
脊髄性小児麻痺、進行性骨化性筋炎、細菌感染など
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B.筋損傷の程度による分類
I度
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・筋繊維の断裂は認められない
・筋細胞の破壊などが見られるもの(筋が引き伸ばされた状態)
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II度
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・部分断裂損傷であり一般には肉離れと呼ばれ完全に断裂はしていないもの
・圧痛と腫脹が見られ局所に陥凹を確認できるものもある
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III度
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・完全断裂
・筋腹間に陥凹があり強い圧痛、断裂端は縮み腫瘤を形成
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C.筋損傷の部位による分類
1.長軸での分類
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a.筋の起始部
b.筋腹部
c.筋腱移行部
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2.浅深での分類
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a.筋膜
b.筋の浅層
c.筋の深層
d.他筋との付着部
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3.筋間損傷と筋内損傷
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a.筋線維束の間の結合組織の損傷で筋繊維そのものに損傷はない
b.筋繊維の断裂
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D.外力働いた部位による分類
直達外力による損傷
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打撲
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介達外力による損傷
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肉離れ
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4.筋損傷の症状
陳旧例では硬結、腫瘤、陥凹の触知、伸長度の低下、筋力低下などが見られる
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5.筋損傷の治癒機序
炎症期
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・筋繊維の変性、壊死に引き続いて炎症細胞が浸潤し壊死組織を貪食する
・これに伴って血管新生が起こる
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増殖期
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・壊死細胞が除かれると衛星細胞が活性化され増殖し増殖期に入る
・衛星細胞は互いに融合し多角の筋管細胞が形成され新生筋繊維により置換される
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成熟期
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・成熟期に入り最終的に神経再支配が起こり再生が終了
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6.筋損傷の予後
瘢痕組織による治癒
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・瘢痕組織を残して治癒すると弾力性の異なった部分が筋の中にでき早期に筋が力を出し過ぎると再度筋損傷が起こる危険性がある
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骨化性筋炎
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・筋損傷時の血腫が原因となって発生
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5-4腱の損傷
1.腱の構造と機能
・筋は腱へと移行して骨に付着し、腱は筋収縮による力を骨に伝える
・腱は強靭な結合組織で豊富な膠原線維からなり光沢のある白色を呈している
・腱は腱鞘という滑液包が細長くなってできた鞘に包まれる
※アキレス腱は腱鞘がなくその周囲をパラテノンで囲まれている
※腱鞘内の腱は血行に乏しいがパラテノンは血行に富む
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2.腱損傷の概説
・一般に県の損傷は「断裂」と「炎症」に分けられる
・臨床的には30歳を超え加齢による腱の変性が関与するとされ発生することが多くなる
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断裂
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アキレス腱断裂、棘上筋腱断裂など
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炎症
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アキレス腱炎、ド・ケルバン病など
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A.腱損傷に加わる力
急性
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一度の外力として加わり損傷を引き起こす
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亜急性
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損傷と認知できないような力が繰り返し或いは継続して加わることで発生
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B.腱損傷の程度による分類
I度
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腱線維の断裂は認められない
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II度
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腱線維の部分断裂損傷
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III度
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完全断裂
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5-5.神経の損傷
1.神経の構造と機能
A.末梢神経の構造
・神経線維には軸索の周囲に髄鞘を有する有髄神経線維と有しない無髄神経線維がある
・それらは基底膜と神経内膜に包まれこの集団が神経周膜により包まれ神経束となる
・神経束は結合組織とともに集合し神経上膜に包まれ神経管となる
※中心← 軸索 - 髄鞘 - 神経内膜 - 神経周膜 - 神経上膜 →外側
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2.神経損傷の概説
A.末梢神経損傷に加わる力
急性
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・切創による開放性損傷、直接的な外力、骨・関節損傷に合併する損傷や圧迫、
牽引力などが損傷を引き起こす
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亜急性
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・損傷と認知できないような力が繰り返し或いは継続的に加わることで症状が現れる
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3.神経損傷の分類
A末梢神経損傷の程度による分類
外傷性神経損傷
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正常な神経に外力が作用して発生
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病的状態
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中枢神経損傷によるもの(脳性マヒ、ポリオ)、筋萎縮性側索硬化症、
脊髄性進行性筋萎縮症
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B.末梢神経損傷の程度による分類
サンダーランドの分類
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1度
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限局性の脱髄による伝道障害
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2度
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軸索のみ損傷
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3度
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軸索と神経内膜の損傷
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4度
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神経周膜も損傷
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5度
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神経上膜まで完全に損傷
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セドンの分類
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neurapraxia
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一過性不動化
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axonotmesis
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軸索断裂
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neurotmesis
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神経断裂
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C.外力の働いた部位による分類
直達外力による損傷
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・切創による開放性損傷や、打撲、衝撃、墜落などの鈍性の直達外力によって損傷を生じるもの
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介達外力による損傷
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・損傷部から離れた部位に外力が加わるもの
⇛ 関節が正常な可動域を超える外力が強制される急性の関節損傷時に牽引力が加わる場合
⇛ 反復する関節運動時に元来の絞扼、圧迫されやすい部位で損傷が生じるものなどがある
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D.外力の働き方による分類
牽引力による神経損傷
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神経線維が牽引力により損傷するもの
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圧迫力による神経損傷
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打撲などの急性外力により損傷されるもの
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持続的な牽引、圧迫、絞扼による神経損傷
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・骨、関節損傷による形態変化により継続的に牽引力が加わり損傷されるもの
・ガングリオンなどのより圧迫されるもの
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薬物注射による神経損傷
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橈骨神経、坐骨神経などに発生する
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4.神経損傷の症状
運動神経障害
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マヒ、筋力低下、腱反射などの減弱又は低下が起こる
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感覚神経障害
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触覚、温度覚、痛覚などが傷害される
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自律神経障害
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発汗停止、血管障害、栄養障害
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5.神経損傷の治癒機序
サンダーランド 1度
セドン neurapraxia
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・軸索の連続性が温存されている限り機能は通常完全回復する
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サンダーランド 2・3・4度
セドン axonotmesis
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・軸索の連続性が絶たれ軸索変性を引き起こすが神経内膜症の連続性は保たれる
・中枢端からの再生軸索は神経内膜により形成される内在性のガイドラインに導かれ正しい末梢標的器官への再生が起こる
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サンダーランド 5度
セドン neurotmesis
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・神経幹の神経内膜鞘と結合組織の両成分が損傷されると確実に悪化する
・診療する軸索を導く組織構造物はなく、軸索の過誤支配が重要になってくる
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※過誤支配 軸索同士が正しく繋がらない
※神経線維は約1mm/日で再生する
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