5-2関節の損傷(捻挫・脱臼)
解剖でやった所は略
II.関節構成組織
1.軟骨組織
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・関節軟骨の平均の厚さは2mm-4mmで凹関節の辺縁、凸関節の中心付近が厚い
・若年者では透き通った白色、高齢者では黄色が強くなる
・血管、リンパ管、神経の分布はない
・細胞間基質は非常に弾力に富んでいる
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a.軟骨細胞
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・4層(表層、移行層、放射状層、石灰化層)から構成される
・放射状層と石灰化層との境界をtidemarkとよぶ
・成分割合:プロテオグリカン10-15%、コラーゲン10-15%、水分70-80%
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b.軟骨基質
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・細胞間基質はプロテオグリカンとコラーゲンから出来ており両者とも軟骨細胞によって合成、分泌される
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c.軟骨の栄養、代謝
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・成人の軟骨組織には血管分布はなく軟骨細胞の栄養は滑液からの拡散、還流又は循環によって行われる
・軟骨に力が加わると細胞間基質より水が絞り出され、力が抜けると又元に戻るという性質がある
・小児の関節は成人と異なり、滑液と骨髄の両者から栄養が供給される
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2.関節包
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・関節包は内外層からなる
外層:骨膜の表層部に続く線維膜で、強い丈夫な層
内層:疎な柔らかい層であり滑膜という
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3.滑液(関節液)
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・滑膜から分泌される
・淡黄色、透明で粘性のある濃い液体
・正常な滑液量は0.1-3.5mlで関節の潤滑作用及び関節軟骨を栄養している
・滑液は粘液性のプロテオグリカンでヒアルロン酸を豊富に含んでいる
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4.靭帯
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・関節を作る骨を互いに結び骨の結合を強め、関節の過度の運動を抑制
・関節外靭帯と関節内靭帯がある
・靭帯は骨膜に連絡する部分でシャーピー線維となって骨膜を貫通して骨と付着している
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5.関節円板、関節半月
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・膠原線維の多い線維軟骨性の結合組織
・円板は関節腔を完全に分け、半月は不完全に分けている
・運動の際に骨頭の誘導機能を持ち関節面の適合性を良くしていると考えられている
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a.関節円板
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・完全な板状をなし関節腔を二分する
顎関節、胸鎖関節、下橈尺関節、橈骨手根関節
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b.関節半月
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・膝関節に存在し関節を安定させ衝撃を和らげるクッションの役割もある
・半月板は血行が無いと言われ自然治癒は無いとされていたが現在では半月板外側1/3は血行があり治癒する可能性がある
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6.滑液包
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・筋又は腱と骨との間にある結合組織性の嚢胞
・内面は滑膜に覆われ粘液様の滑液を入れる
・運動の際に組織間の摩擦を少なくする
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7.関節唇
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略
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8.関節の血管、神経
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・関節への血行は関節包外側(滑膜)より関節の周囲血管によって供給される
・関節には感覚神経と自律神経の両方が分布
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a.感覚神経 ⇛ 脳に伝わる
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・感覚神経は関節包に豊富で位置覚、運動覚、特に捻じれや伸展に敏感
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b.自律神経
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・滑膜には自律神経のみ分布し、豊富な血流をうまくコントロールしている
・滑膜自体は痛みや刺激に対して鈍感
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III.関節の潤滑
・関節軟骨は非常に摩擦の少ない潤滑作用を持ちその摩擦係数は0.001-0.01と低く正常な状態で摩擦は殆ど起こらないと考えられている
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