感染症
1.感染と発病
感染とは病原体が宿主の体内に侵入して増殖すること
感染症とは感染によって起こる疾病(AIDS、O-157、鳥インフルエンザ...)
病原体が体内に侵入してから発病するまでの期間を潜伏期間という
※潜伏期間が短い:食中毒 長い:エイズ
感染しても発病しない場合は不顕性感染という(ポリオ、日本脳炎...)
2.感染症成立の条件
感染源、感染経路、感受性宿主の3要因
a感染源
1)ヒト
ヒト⇔ヒト
2)動物
動物⇛ヒト
人畜・(獣)共通感染症(ヒト、動物⇔ヒト)⇛狂犬病、日本脳炎...
3)土壌
土⇛ヒト
破傷風
b感染経路
感染経路とは病原体が感染源から出て新たな感受性宿主に侵入するまでの道筋
垂直感染:母体から胎盤、産道を介して児に感染する場合
水平感染:一般のヒトからヒト
c宿主の感受性
免疫の大小で発病するか決まる
ウイルス感染症
a.気道疾患
上気道炎、気管支炎
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インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、etc
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咽頭痛
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アデノウイルス、単純ヘルペス
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感冒(風邪)
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ライノウイルス、アデノウイルス
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咽頭結膜熱(プール熱)
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アデノウイルス
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ヘルパンギーナ
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コクサッキーA群ウイルス
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b.神経麻痺
急性脳炎
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単純ヘルペスウイルス
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ムンプスウイルス
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流行性耳下腺炎(おたふく)の原因でもある
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日本脳炎
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日本脳炎ウイルス
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コガタアカイエ蚊による媒介(ブタ)
不顕性
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急性灰白髄炎
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ポリオウイルス
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小児麻痺、ポリオ
不顕性
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亜急性硬化性全脳炎
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麻疹ウイルス
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持続感染
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c.ヘルペスウイルス感染症
単純ヘルペスウイルスI、Ⅱ型
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口唇ヘルペス、角膜炎、ウイルス性脳炎
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水痘、帯状ヘルペスウイルス
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水痘(水疱瘡)、帯状疱疹(ヘルペス)
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EBウイルス
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伝染性単核球症
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サイトメガロウイルス
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肺炎、髄炎
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HHV-6
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突発性発疹
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d.ウイルス性肝炎
A、E型
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水系感染症(飲料水)
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B、C、D型
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血清肝炎
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持続感染し肝硬変から肝臓がんに至ることもある
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e.発疹
麻疹(はしか)
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麻疹ウイルス
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コプリック斑
持続感染すると亜急性硬化性全脳炎
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風疹
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風疹ウイルス
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妊婦、奇形児
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細菌感染症
a.グラム陽性球菌
グラム染色法で染色できる細菌
ブドウ球菌
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黄色ブドウ球菌
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食中毒
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
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院内感染
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連鎖球菌
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Dick毒素 ⇛ 猩紅熱
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肺炎球菌
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肺炎の原因菌
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b.グラム陰性球菌
髄膜炎菌
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りん菌
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りん病(性感染症(STD))
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c.グラム陽性桿菌、グラム陰性桿菌
桿:棒状をしている
グラム陽性桿菌
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グラム陰性桿菌
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ジフテリア
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レジオネラ菌
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結核菌
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大腸菌
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百日咳菌
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d.腸内細菌
大腸菌
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食中毒
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サルモネラ属菌
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赤痢菌
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細菌性
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e.嫌気性菌(酸素を嫌う)
破傷風菌
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芽胞を形成
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ボツリヌス菌
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f.抗酸菌感染症
結核菌
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らい菌
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ハンセン病
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g.肺炎
マイコプラズマ
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若者に多くなってきている
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肺炎球菌
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レジオネラ菌
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レジオネラ症
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クラミジア
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オウム症
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その他の感染症
クラミジア感染症
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オウム病、STD
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細胞内でのみ増殖(細菌)
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リケッチア感染症
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つつが虫病
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スピロヘータ感染症
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梅毒、STD
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細菌と原虫の中間
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原虫感染症
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アメーバ赤痢症
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マラリア
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ハマダラ蚊
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トキソプラズマ症
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猫のフン
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真菌感染症
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白癬菌
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皮膚真菌症
常在菌 カビ
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カンジダ
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寄生虫疾患
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アニサキス
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生魚
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フィラリア
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蚊による伝播
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吸虫症
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淡水魚
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肝吸虫、横川吸虫
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カニ
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肺吸虫
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宮入貝
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日本住血吸虫
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条虫症
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牛肉
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無鉤条虫
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豚肉
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有鉤条虫
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生魚
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広節裂頭条虫
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犬のフン
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包虫
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感染症の予防対策
1.感染源対策
検疫感染症(11種)
感染症法1類+デング熱、マラリア、新型インフルエンザ、鳥インフルエンザ
感染症法(1-5類)
1類
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エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、痘瘡
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2類
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結核、ポリオ(急性灰白髄炎)、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザ
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3類
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コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス
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2.感染経路対策
・マスクの使用
・手洗い
・上水道の塩素消毒
・学級閉鎖
・害虫駆除など
3.感受性宿主対策
・抵抗力を上げる(十分な睡眠、栄養の摂取、体力増強など)
・ワクチン接種
4.予防接種
定期予防接種(8種)
ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ(急性灰白髄炎)、麻疹、風疹、日本脳炎、結核(BCG)
ワクチンの種類
弱毒生ワクチン
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BCG、風疹、麻疹、水痘、黄熱、ポリオ(急性灰白髄炎)、ムンプス(流行性耳下腺炎)
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不活化ワクチン
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日本脳炎、インフルエンザ、百日咳、A,B型肝炎
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トキソイド
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ジフテリア、破傷風
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混合ワクチン
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DPTワクチン、DTワクチン、MRワクチン
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