2013年5月19日日曜日

鎖骨骨折


上肢

骨折
鎖骨骨折
特徴
発生頻度 高い

介達外力 多い

全年齢で発生

年齢による特徴
小児
不全骨折(若木骨折)が多い
小児は頭部損傷にも注意
少年期まで
自家矯正力(リモデリング)が高い
捻転骨折はリモデリングは働かない
予後良好

成人、高齢者
転位が高度
骨片骨折の可能性
固定が困難変形を残す

過剰仮骨形成
神経(腕神経叢)麻痺の可能性
不十分な整復
仮骨形成の遅れ
固定の長期化
筋力低下、(肩)関節拘縮
再整復の繰り返し
遷延治癒
偽関節


発生機序
介達外力
発生頻度80%

肩部を衝いて転倒
鎖骨の長軸方向に作用
力学的に弱い中外1/3境界部に発生
肩外転、肘伸展で手掌をついて転倒

直達外力
発生自体はまれ 発生頻度20%

外1/3部(外端部)に発生することが多い
外のほうが薄い
表在性の為

定型的転位
完全骨折(成人の骨折)
近位骨片
上方やや後方
胸鎖乳突筋
遠位骨片
下垂
上肢の自重
短縮
大胸筋(胸骨から上腕)
小胸筋(烏口突起から肋骨)
不全骨折(幼児の骨折)
上方凸の変形
異常可動性がなく見落としやすい
乳幼児の場合は両腋窩をもって抱き上げると号泣

症状
頭部を健側に傾ける
胸鎖乳突筋を弛緩させ痛みをやわらげている
疼痛緩和肢位
鎖骨骨折特有
患側の方が下垂
骨折部に響くのですり足
鎖骨骨折特有
肩幅減少
大・小胸筋に引っ張られる
鎖骨骨折特有
異常可動性と軋轢音、変形

骨折の固有症状
骨折部の腫脹、限局性圧痛


皮下出血斑
骨折部より下方に広がる

上肢の運動制限
痛いから動かさない、特に外転


整復法
整復前と整復後の確認
神経
腕神経叢の損傷

血管
鎖骨下動脈損傷
触れないので左右の手首で脈を比較して確認
内臓
肺損傷
顔が青い、息遣いが荒い


幼児の若木骨折
1・上方からの軽い直圧

2・8字体固定で2~3w

臥位整復法(成人)
1・鎖骨整復台に背臥位にさせる

2・両肩を外転させる
遠位骨片を後外上方に引っ張る
ここまででほぼ整復完了
3・不十分な場合は直圧

座位整復法
1・座位にする

2・第一助手が両肩を外後方に引く
短縮転位の整復
3・第二助手が上肢を突き上げる
下方転位の整復
4・ずれている骨片を合わせる


固定法
・固定が困難なため固定法が多い
・固定期間
 小児の若木骨折 2~3w
 成人の完全骨折 4~6w
・固定肢位は胸を張った姿勢

8字体固定法
包帯を背中で交差して8の字に巻く

デゾー包帯固定法
第1帯
腋窩枕子を固定

第2帯
上腕を固定

第3帯
腋→肩→肘を繰り返す

第4帯
前腕を釣り上げる

セイヤー絆創膏固定法

転位が少なく短期間の場合に適用
⇛テーピングが剥がれる、肌が荒れる

第1帯
短縮転位の防止
遠位骨片の転位の防止
第2帯
下方転位の防止
第3帯
前腕の重量で近位骨片の上方転位を防止

厚紙副子固定法
厚紙+8字体固定法

T字状木製板固定法
T字板+8字体固定法

バンド固定法

クラビクルバンド
ギプス固定法

リング固定法
2個のリングを腋につけて背中で引っ張る



後療法
整復後10日間は安静
再転位に注意
安定後は患部を温める
肘、手首、指なとは積極的に動かす
約4wで骨癒合

その後肩の運動を開始する
中高年は普段動かしていないので積極的に行う



合併症・後遺症
神経血管障害
腕神経叢、鎖骨下動脈の損傷
胸膜・肺尖損傷
血胸、気胸の恐れ
変形治癒
機能障害なし
女性に関して美容上の問題あり
偽関節
機能障害はあまりない
変形性関節症
・胸鎖関節
影響は少ない⇛鎖骨内側端は太いので折れにくい
肩鎖関節
影響することが多い⇛外端部骨折は頻度が高い
関節の痛み、ズレ等含めて変形関節症

非観血療法の限界点
鎖骨外端部骨折烏口鎖骨靭帯の断裂
上方転位が大きく骨癒合が不能
第3骨片が楔状骨片
皮膚貫通の恐れ
※楔状骨片:第3骨片が縦になる
粉砕骨折






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